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?W.プログラムデザイン
アルコール関連事故予防のための、地域社会を基本とした包括的アプローチの例
次に記すのは、アルコール関連の偶発傷害や死亡を減らすにとを目的に、予防対策研究センターが行った地域単位での包括的予防対策試験の一例である。防止策を3都市(カリフォルニア州の2都市とサウスキャロライナ州の1都市)で導入し、それぞれの被験都市に関して対応する対照都市を置いた。本試験は地域社会における住民への情報提供と教育を、環境面からの戦略と組み合わせた場合の効果を試す試験である。ここではその計画を簡単に述べる。
アルコール関連外傷防止の幾つかの側面に貢献すると考えられる5つの要素を定義した。本プログラムでは、各要素がそれぞれ独立して機能するのではなく、互いに補完し、支え合う形で機能するよう計画されている。5つの要素とは以下の通りである。
まず、「地域社会の起動」という要素に関しては、地域社会において組織づくりを行い、本プロジェクトの目標と戦略に対する支持を確立すること、及びアルコール関連外傷に対する住民の認識と関心の高まりを意図している。「責任ある酒類供給の慣行」では、バーやレストランにおける酩酊した客や、飲酒年齢に達しない若年者の飲酒が減少するよう、飲食店の従業員、経営者または管理者を教育するにとが含まれる。「若年者の飲酒の減少」では飲酒年齢に達しない者の飲酒に関する住民教育、酒類販売店に対する指導、親に対する指導を行うにとや、10代の若者の酒類入手経路を制限するにとなどを行う。「飲酒運転のリスク」では、地域のDWI法(飲酒運転に関する法律等)の執行効力を高め、飲酒運転の実際の検挙率、及び飲酒運転をすれば検挙されるということに対する運転者の危機感を高めるにとを狙いとしている。「アルコール入手」については、地域による規制と酒類規制担当局の活動により、アルコールの入手経路を制限することなどを行う。

 

V.プロジェクト実施の段階
地域予防策を試験する本研究は、5つの段階で構成される。第1段階は「本基準の設定と計画の策定」である。この段階では予防策の介入は全く行わない。被験地域、及び対照地域における飲酒関連の外傷に関する(防止策介入以前の)基本となるデータの収集を行う。この長期に渡る計画策定期剛には、地域住民の参加とプログラム導入前の事前試験を進めるための方法の確立、及びプログラム実施前の情報収集が含まれる。
第2段階は、「地域社会の起動とプログラムの導入」の段階で、被験地域を目的に向かって始動させ、住民を教育し、予防法の介入を開始する段階である。地域社会の起動と住民教育が初めての公の活動となる場合が多い。プロジェクトに対する地域内の組織や団体の支持と参加を獲得し、飲酒が関与する外傷の危険性に関して住民の認識と関心を高揚させ、実施する戦略に対する住民の支持を確立することを目標としている。
第3段階は「包括的介入」である。全ての要素を実行し、機能させるにととなる。データ収集に関しては少なくとも、(a)飲酒関連の外傷に関する継続的なモニタリングと住民に対するアンケートの実施、及び(b)導入期終了後の防止策介入のプロセスと結果に関する情報収集、を行うものとする。予防策の構成要素それぞれの特異的な情報に関しては、その進行や活動を文書化(プロジェクトの歴史記録)し、プロジェクトスタッフに対して情報のフィードバ

 

 

 

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